雨漏り箇所をシーリングで塞げば雨漏りは止まると思っている方がいます。しかし、これは間違いです。シーリングで止めようというのは雨漏り修理ではなく応急処置です。
このページでは、本来のシーリング材の役割と、修理ではなく応急処置だという理由を説明いたします。
シーリング材の役割
雨漏りしているからシーリングで止めようというのは雨漏り修理ではなく応急処置です。1~2年しか持ちませんので過剰な期待は持たないようにしてください。あくまで応急処置です。
建物はシーリング(ゴムパッキンのようなもの)だけで雨水の浸入を防いでいるわけではありません。シーリング材は一次防水材といって、最前列(一番外側)で雨水の浸入を防いでいますが、それだけではなく、建物が動いたときに伸び縮みして動きに追従するパッキンの役割も果たしています。では継続してこの伸び縮みの力をうけるとゴムはどうなるでしょうか?
輪ゴムで実験してみるとよくわかりますね。たくさん伸縮運動を受けたゴムは伸びてしまいます。あるいは切れてしまいます。シーリング材も同じです。従ってよく動く建物や外壁のシーリング材は長持ちしないことになります。
この最前線で雨水の浸入を守っているシーリング材のディフェンス(防御)は5~6年で破られてしまいます。破られることがわかっているから、シーリング材が劣化しても雨漏りしないような構造に建物は造られています。極端にいえば、シーリングがなくても雨漏りしてはいけないのです。
シーリングが切れたのと同時に雨漏りする家は、二次防水層レベルに欠陥が存在していることになります。
雨漏りする窓周りへのシーリング補修
よくあるのが、窓(サッシ)周りに雨漏りするからといって対象の窓や出窓周りのシーリングを打ち替えるという補修、これは間違いです。
現在の90%の新築がサイディング張りの外壁と言われていますが、例えばサイディング(一次防水層)の裏側はこのように通気層(空間)が設けてあり、さらに胴縁の下に透湿・防水シートが張ってあるので、シーリングが切れて雨水が浸入したとしてもすぐさま漏水するものではありません。
ですから、窓から雨漏りするからといってもシーリングを打ち替える補修では止まらないわけです。この場合は透湿・防水シート(二次防水層)に問題があるので二次防水層をやり替えなければなりません。
瓦へのシーリング補修
瓦がずれるのを止めるとか風で飛ばないように補強するとかの名目で、瓦の重ね部にシーリングをする業者がいますが、これは絶対にやってはならないことです。
瓦は万が一雨水が瓦の裏側に浸入してしまったときは外に排出されるような構造になっています。また瓦同士の重ね部分に微妙な空間があることによって振動を受けた時に力を逃がし割れを防いでいるのです。特にガラス瓦はその隙間が大きく設計されています。よって、シーリングで塞いだり強制的に留めたりするのは間違いなのです。
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シーリングによる瓦留め工法の施工画像シーリングを充填するとこの雨水の出口がふさがれてしまうため、余計に雨漏りする確率が高くなります。またシリコン系シーリング材で間違った補修をしてあることが多く、シリコンから出る油で瓦を汚してしまうので良いことがないのです。
瓦屋さんがやらないシーリング補修をどうして第三者がシーリングで補修するのか、瓦屋さんは構造を知っているからやらないのです。それが正しいなら最初から瓦屋さんがやっていますよね。